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「三献」軸に食文化調査 文化庁事業で価値検証 奄美食育食文化プロジェクト
観光・グルメ 南海日日新聞

「三献」軸に食文化調査 文化庁事業で価値検証 奄美食育食文化プロジェクト

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 鹿児島県奄美大島で祝い事で執り行われる伝統儀式「三献(さんごん)」などを切り口に、奄美の食文化の歴史的背景や文化的特徴、地域社会における役割などを明らかにしようという取り組みが、奄美市で始まった。NPO法人奄美食育食文化プロジェクト(久留ひろみ理事長)が、文化庁事業の採択を受け展開する。県本土や沖縄県を比較対象に文献調査やヒアリング調査を実施し、奄美の食文化が持つ精神的価値の継承を目指す。

 同事業は日本各地の特色ある食文化の継承・振興に取り組むモデル地域などに対し、その文化的価値を伝える「食文化ストーリー」の構築・発信等を支援することで、文化振興とともに地域活性化につなげる目的。全国の地方公共団体や民間団体から応募があり、審査を経て2026年度は全国6団体が採択された。

 奄美のプロジェクトチームが掲げるのは、琉球と薩摩の境界で育まれてきた奄美独自の食文化が持つ「共生と分かち合いの食卓の継承」。象徴的な料理として、もてなし料理である鶏飯(けいはん)、稲作とともに受け継がれてきた発酵飲料のミキ、薩摩藩の武家礼法に由来する三献を取り上げるという。17日は奄美市名瀬のAiAiひろばで第1回有識者検討会(座長・久留理事長)があり、久留理事長がプロジェクトの概要や目的を説明した。

 検討会は郷土料理研究家で奄美市文化財保護審議会の泉和子会長や奄美博物館の貞洋子館長ら6人で構成。同日はオブザーバーとして文化庁職員もオンラインで参加し、調査方法やテーマの方向性などについて意見を交わした。

 委員からは「人と人の分かち合いのほか、ノロの儀礼や祖霊供養などに見られるカミと人の共食という視点も盛り込んで」「テーマを明確化し調査対象を絞った方がいい」などのアドバイスがあり、今回の調査では三献を中心に据えて進めることや、ヒアリング調査を奄美大島と加計呂麻島で行うことなどを確認した。

 調査を率いる久留理事長は「近年は食が歴史や地域の精神的な文脈から切り離され、単なる料理、観光資源として消費される傾向がある。奄美独自の食文化の価値を島内外に発信するとともに、次世代が誇りを持って主体的に継承できる環境をつくりたい」と意欲を語った。調査結果は来年2月頃に報告書としてまとめられる予定。