一村の画家人生を評価 日本画家・大矢さんが講演 奄美市名瀬
📰 全文
山岳風景や花鳥を中心に描く日本画家・大矢紀さん(90)の来島記念講演会(田中一村研究会・名瀬美術協会主催)が29日、鹿児島県奄美市名瀬の市立奄美博物館であった。「“描く”ということ―日本画家 田中一村を中心に」と題とした講演では、中央画壇で認められずも没後に独特の画風で注目を集めた一村の画家人生を評価。また、70年以上描き続ける自身の半生を振り返り、聴講者へ創作活動のアドバイスを送った。大矢さんは新潟県出身。高校生で画家を志し、19歳で日本美術院の公募展「院展」で初入選。1976年には自身の代表作となった「北岬」で、日本美術院賞・大観賞を受賞。その後の院展でも内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、日本芸術院賞を受賞している。
講演会は第25回「奄美を描く美術展」の特別審査委員長としての来島を機に開催。主催する両団体の会員ら約60人が来場した。
大矢さんは、日本画家・川端龍子主催の第20回青龍社展で一村が出品した自信作の「秋晴」が落選したエピソードを挙げ、「入選は選ぶ側の感覚で決まり、入選落選は紙一重。時代に受け入れられるか否か」と当時の中央画壇の背景を説明。
その後、一村を紹介したテレビ報道や新聞記事などで一躍脚光を浴び、2001年には奄美市笠利町に記念美術館が開館。全国各地で展示会が開かれており、大矢さんは「(優れた作品は)死んでも残る。自分の描きたい物を描き続けた田中一村はすごい人」と評価した。
また、現在も創作活動に励む大矢さんは、聴講者に対し「絵は終わりのない世界。自分を律して自分の世界観を描き、作品の高みを目指すことが大事」とアドバイス。一村がモチーフとした奄美大島の自然については「植物の葉一つ一つに生命力を感じる。数年かけて一村とは違う視点で自分流の奄美を描きたい」と意欲も示した。
コメント 0件
まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?