鹿児島県 慶大生が天城町で調査成果発表 伝統文化の活用や空港起点の「稼ぐ力」を提案 地域持続性の確保へ
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【徳之島】慶応義塾大学経済学部・橋口勝利研究会(橋口ゼミ)の学生らによる奄美・徳之島の地域調査がこのほど行われ、天城町役場では調査報告・意見交換会も開いた。同島の地域活性化の課題と解決策を探る取り組みで、今年で4年目。首都圏の若者の視点から、伝統文化の活用や徳之島空港を起点とした「外貨獲得力」の強化など、持続可能な地域づくりに向けた提案が示された。橋口教授率いる同ゼミは、奄美大島・徳之島などが世界自然遺産に登録された2021年を契機に、22年から徳之島での調査を開始。毎年9月に現地入りし、自然、文化、産業などを対象にフィールドワークを行っている。
4年目となる今年は15~17日、橋口教授と同ゼミ生9人(3、4年生)が来島。島内の自然・文化・産業関連施設などを視察したほか、樟南第二高校の生徒らとの交流授業や共同調査活動にも取り組み、天城町役場では町幹部職員らを前に調査成果を発表した。
報告会では、3年生5人が「徳之島の経済自立を軸とした持続可能性の検討~同町における『外貨獲得力』強化に向けた包括的施策提言」をテーマに発表した。
学生らは、徳之島が抱える課題として、就職や進学による若年層の島外流出と少子高齢化、伝統行事や集落文化などの継承危機、生産年齢人口の減少による島内市場や産業基盤の縮小を指摘。これらが若者のさらなる流出を招く「負のループ」につながっていると分析した。
高校生を対象としたアンケートなどから、「島外に進学した後、地元に戻りたくても戻りにくい」という現状にも着目。地域課題の本質を単なる財政力不足ではなく、島外から継続的に資金を呼び込み、地域内で循環させる「外貨獲得力」の不足と捉えた。
その上で、島外から得た資金を雇用や生活環境、自然・文化の保全などに再投資する「持続可能な好循環モデル」の構築を提案した。
具体策としては、本場奄美大島紬などの伝統文化を現代のライフスタイルに合わせたアパレル商品や体験型の観光・消費へと再構築し、都市部の購買層を取り込む手法を提示。また、徳之島空港への到着時にQRコードなどを活用し、滞在中の施設利用やふるさと納税、企業版ふるさと納税へとつなげる仕組みも提案。一度の観光で終わらせず、継続的な関係人口の創出を目指す考えだ。
4年生4人も、卒業論文に向けた研究成果や提案を発表。人口減少への対応策をはじめ、航空機の空席を活用した学生向けの学びの場の提供、黒糖焼酎づくりなど伝統産業への誇りを生かした地域づくり、町ケーブルテレビ(AYT)や防災ネットワークを活用した若者向けコミュニティー形成など、多角的に提案。
また、若者が島へ戻る際の就労や賃金面での障壁、高校生が島への愛着を持ちながらも地元産業を十分に知らない現状にも触れ、島の資源を生かした魅力づくりと、若者が暮らしやすい環境整備の重要性を訴えた。
報告会には森田弘光町長をはじめ、各課長ら町幹部職員約15人が参加。町側は首都圏の大学生ならではの視点による分析と提案に謝意を示した。
森田町長は、徳之島空港を起点としたふるさと納税や関係人口の創出、完成した闘牛場(ドーム施設)を日常的な交流・体験プログラムに活用する可能性などに言及。持続可能な若者の定着と地域づくりに向けては、「農業後継者以外の若者に、いかに魅力的で多様な働く場を提供できるかが最大の課題」とも述べた。
その上で、運用中のワーキングスペースや集落施設を活用したインターンシップの受け入れ、大学生と連携したツアーの企画など、具体的な仕事づくりにつなげていく考えを示した。
橋口教授は「今回の調査はとても学びが多かった。研究成果として取りまとめ、慶応義塾大学の三田祭(11月20~23日)で、パネル展示や物産展を通じて首都圏の方々に発信する予定」と話した。