「新幹線がつながったから来た」 シルバーウィーク、鹿児島に観光客戻る 九州新幹線全線復旧から初の連休
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「黒豚を食べたくて来た」「両棒餅のためにはるばる来た」――。9月19日から始まったシルバーウィーク、鹿児島県内の観光地や飲食店には全国各地から観光客が訪れ、にぎわいを取り戻した。2026年7月の熊本地震の影響で一部区間の運休が続いていた九州新幹線が、連休直前の18日に52日ぶりに全線で運行を再開。復旧後初の大型連休となり、観光客の「背中を押す」形となった。21日午後の鹿児島中央駅前では、大きな荷物やキャリーバッグを手にした家族連れや観光客の姿が目立った。
京都から訪れた観光客は「鹿児島におじいちゃんが住んでいるので、みんなで会いに行こうと」と話した。同じく京都からの観光客は「黒豚を食べたい。ラーメン。今から天文館のラーメン店・小金太に行きます」と笑顔を見せた。
九州新幹線の復旧が訪問の後押しになったかという問いに、滋賀からの観光客は「復旧が後押しになった。直前に行こうとするとこの時期、航空券は高いので新幹線で行けるのはすごくいい」と答えた。また、ドイツからの観光客は「こんな活火山の近くで住んでいるなんてすごいから見に来たんだ」と、鹿児島ならではの自然の迫力に惹かれて足を運んだことを明かした。
九州新幹線は2026年7月の熊本地震の影響で一部区間の運休が続いていたが、9月18日、52日ぶりに全線での運行を再開した。
鹿児島中央駅近くに位置するホテルユニオンでは、熊本地震後に宿泊で例年の3割、飲食でも例年の2割ほど売り上げが落ち込んでいた。しかし、新幹線の全線復旧を受け、21日までの3日間は満室となった。
同ホテルの淵村文一郎社長は「シルバーウィークに復旧が間に合うかとやきもきしていたけど、本当にありがたい」と胸をなで下ろした。取材が訪れた昼時には、ホテルが運営する黒豚料理のレストランに行列ができており、八代から訪れた観光客は「新幹線がせっかくつながったから、食べたくて来た」と話した。
淵村社長は「1時間に400〜500人運ぶ新幹線が入らないということが、どれほど鹿児島の観光・経済に大きなことなのかということを改めて実感した」と、新幹線が地域経済に与える影響の大きさをかみしめた。
鹿児島市吉野町にある老舗の両棒餅店「平田屋」でも、シルバーウィークの21日、昼過ぎから多くの人が訪れ、店内はにぎわいを取り戻していた。
大阪・兵庫からの観光客は「おいしい。両棒餅をずっと食べたくて色々調べてここに来た。とてもおいしい。10個ペロリ」と満足そうに語った。宮崎からの観光客も「両棒餅のためにはるばる来た」と話し、この後はショッピングセンター「A-Z」にも立ち寄る予定だという。
8月13日のお盆時期に同店を取材した際には、例年ならにぎわう時期にもかかわらず店内に空席が目立ち、閑散とした雰囲気が広がっていた。それから約1カ月。九州新幹線の全線復旧に加え、鹿児島県独自の宿泊割といった複合的な効果が重なり、全国各地からの観光客が戻ってきた。
山口から来た観光客は「お盆とかホテルとかの売り上げが下がったという話も聞いているので、それに少しでも反映できれば」と地元への思いやりを口にした。
店を営む平田いずみさんは「思ったよりお客さんが来てくれている。本当にありがたい。熊本の震災の後、宿泊割のおかげで上がってきた。皆さんシルバーウィークに来てくれるのは喜ばしいことだと思う」と笑顔を見せた。
新幹線という「1本の線」がつながることで、人の流れが変わり、地域の飲食店やホテルの経営が大きく左右される。九州新幹線の復旧と鹿児島県独自の宿泊割が重なり、地域経済の回復に向けた確かな手応えが感じられるシルバーウィークとなった。