奄美の豊かな自然次世代へ クロウサギ研究飼育施設「くるぐる」 開所1周年式典
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国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」の開所1周年記念式典が18日、鹿児島県大和村思勝の同施設であった。自然と人との共生の在り方を学び、発信する拠点として昨年4月20日にオープン。式典を通して1年間の取り組みの成果を共有し、奄美の豊かな自然環境や希少な野生生物を次世代へつないでいく決意を新たにした。施設は同村が運営。獣医師が常駐して交通事故などで傷ついたクロウサギの治療とリハビリを行い、解明されていない生態の研究を進めている。奄美の自然や環境をテーマに活動する学生や研究者を支援する機能もあるほか、来館者は展示を通してクロウサギの生態を学ぶことができる。日中でも飼育中の個体を観察したり、設置したカメラで巣穴の中の様子を見たりすることができる。
現在、くるぐるで飼育されているのはアマミノクロウサギ2匹、リュウキュウコノハズク1羽、ルリカケス4羽、ケナガネズミ1匹。
17日現在の入館者数は4万2575人で、4万人を突破した3月末時点での内訳は村民3・5%、島民43・6%、島外52・9%だった。
式典で、伊集院幼村長は「多くの人たちに施設が愛されていることを実感している。5年、10年と奄美の観光拠点、そして自然や生き物を発信する施設として、スタッフ一同取り組んでいきたい」などとあいさつ。
山田文雄名誉館長は「この1年で植物もよく茂り、森の中を再現したようなイメージができてきている。施設とともに子どもたちが成長し、自然の貴重さや大切さを学んでほしい」と述べた。同施設の豊田英人獣医師からは、動物の受け入れ実績や、高等教育機関との連携に基づき進められている調査研究について説明があった。
成果報告によると、これまでにアマミノクロウサギ1匹、ケナガネズミの親子3匹が野生復帰した。調査研究については、今年3月に東京農工大学と麻布大学の学生を受け入れ。動物保護の取り組みや自然環境について学んだほか、農作物の食害対策に関する共同研究に向けた現地調査などをそれぞれ実施したという。
豊田獣医師は「今後も地域の皆さまや関係機関と連携を強化してクロウサギを中心とした奄美の希少な野生動物の保護保全に取り組んでいきたい」と話した。
式典の最後には、開所1周年を記念して村内の学童保育を利用する児童約30人が作成したモザイクアートが披露された。画材は、施設内の展示コーナー「アマミノクロウサギと人が共生していくためにできる五つのアクション」で、来館者が自分にできる行動を選んで投じる丸型の投票用紙を活用。1年間で7万4千票以上が集まったという。
約2メートル四方のキャンバスに、クロウサギが生きる奄美の自然をイメージして、昼と夜、山や川、色とりどりの草花を表現。作品は施設内の研修室に展示される。