手袋、透析用チューブ、注射器…医療用品は石油由来のものが多い―鹿児島県内医療現場も物資確保の先行きに不安
📰 全文
中東情勢の悪化を受け、鹿児島県内の医療現場では石油由来の物資の手配が難しくなったり、納期が遅れたりしている。今のところ通常診療は維持できているものの、先行きは不透明。国も状況調査に乗り出し、高市早苗首相は16日、国が備蓄する医療用手袋5000万枚を5月から放出すると表明した。一部の医療機関からは、物資の値上がりによる負担増を懸念する声が上がっている。6日、鹿児島市の南谷歯科医院に3月中旬に注文した医療用物資がようやく届いた。島香澄院長(40)によると、一部商品は現在も納期に2週間以上かかっているという。
手袋は、利用する三つの通販サイトのうち二つが在庫切れだ。他の医院からも「手に入りづらい」との声を聞き、「現時点で枯渇しているものはないが、次に何が欠品するのか戦々恐々としている」と島院長。在庫管理を徹底し、「患者さんは安心してほしい」と呼びかける。
値上げに備えて在庫を増やした病院もある。透析患者5人が通う玉里温泉クリニック(同市)は「患者の命に関わる」として、約2週間分を目安にしていた手袋や人工透析に使うチューブ、透析器、注射器を半年分、確保した。
6月の診療報酬改定で、透析治療は一定の基準を満たさないと1回当たり200円下がる。診療報酬は国が定めており、経費が増えても上乗せできない。そのため物資の価格が上がればさらに経営を圧迫する。管理部の上田義法主任(52)は「医療用品は石油由来のものが多い。情勢が早く落ち着いてほしい」と話す。
新型コロナウイルス禍では、マスクや消毒液が突然入荷できなくなり、品薄の状況が続いた。
県内のある卸売業者は3月下旬以降、手袋の注文が増えて十分に対応できていないという。担当者は「顧客はコロナ禍のような品薄を危惧している。他の品に影響が広がらないか」と状況を注視する。
別の業者は事業継続計画に基づき、3カ月分を目標に手袋やマスクを備蓄する。ただ、メーカーからは出荷制限や値上げの可能性を示す文書が出ており、不安は拭えない。担当者は影響の長期化をにらみ「コロナ禍の経験から、余裕を持って対応するよう努めている」と話した。
高市首相は16日、国が備蓄する医療用手袋の放出を表明した。南谷歯科医院の島院長は「平等に受け渡しされるのかなど、まだ不安感はある。早急に行き渡ってほしい」と求めた。