徳之島初の「乾田直播」に挑戦 子ども会が稲作体験 「第4の基幹作物」復活期待も 鹿児島県伊仙町
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【鹿児島県・徳之島】徳之島で初となる「乾田直播(かんでんちょくは)」による稲作プロジェクトが始動し、種まき作業が12日、伊仙町阿三の「田んぼの広場」で行われた。水稲の減反政策により町内から水田(体験用を除く)が姿を消してから約半世紀。島に再び米作りを根付かせようとする新たな試みに、子ども会や地域住民ら約70人が参加した。この取り組みは、京都から夫婦で同町に移住した秋宗達矢さん(60)の提唱がきっかけで、鹿浦こども会育成会とNPO法人徳之島虹の会が共催。稲作体験を通じた食育のみならず、「徳之島の第4の基幹作物」としての稲作の復活・定着への期待も込められていた。
「乾田直播」は、水を張らない乾いた田畑に直接種もみをまく栽培方法で、代かきや育苗、田植えといった工程を省略できるのが大きな特徴。低コストで省力化が可能なうえ、大規模農業にも適するとされる。同手法による稲作が徳之島で試みられるのは初とみられる。
当日は、鹿児島県のオリジナル品種「あきほなみ」の種もみ5㌔ともち米3㌔を使用。参加者は幅約18㌢、深さ約2㌢の溝を作り、1か所に4粒ずつ丁寧に種をまいた。今後は雑草対策後に水を入れ、子どもたちをも交えた草取り(2~3回)を経て、順調に進めば8~9月の収穫を見込む。収穫した米はおにぎり作りや餅つきなどに活用される予定だ。
秋宗さんは、水田が存在しない現状や近年の米不足(お米騒動)を背景に「畑を活用した新しい米作り」を新天地で提唱。従来の水田に比べコストを約半分に抑えられるほか、サトウキビやバレイショとの輪作も可能で、病害虫対策にも効果が期待できると強調する。
徳之島虹の会の美延睦美事務局長は「乾田直播はメタンガスの発生を抑え、二酸化炭素排出量を約65%削減できる環境配慮型農業に寄与。「子どもたちに種まきから収穫、食べるまでの流れを体験させ、食の大切さを伝えたい」と話す。
鹿浦こども会育成会の徳永しずか会長(39)も「親子での体験を通して地域とのつながりを実感してほしい」と語り、食育の意義を強調。子どもたちは「作業は楽しい。おもちにして食べるのも楽しみにがんばります」と話していた。
秋宗さんは「人口減少が進む島に適した省力型農業として広げたい」と意欲を見せる。サトウキビ、畜産、バレイショに続く「第4の基幹品目」として稲作復活への挑戦が始まった。