昔話の感じ方調査 「教訓」「メッセージ」「道徳」 シマユムタ伝承・鈴木さん協力 静岡県立大学准教授ら 鹿児島県
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日本各地で伝わり、奄美群島にも広まった昔話の解釈や継承の在り方などを調べる、住民を対象にした聞き取り調査がこのほど、鹿児島県・奄美大島で行われた。静岡県立大学国際関係学部の坂本剛准教授(53)らが研究の中間結果を報告。人々の道徳的価値や生活上の知恵がどのように受け継がれているのか考察し、レポートにまとめた。坂本准教授は社会心理学、文化心理学が専門。「南西諸島は民話(昔話)が生活に密着している」とし、昨年から岐阜大学大学院教育学研究科の吉澤寛之教授らと奄美大島で聞き取りを開始。2年間で30歳代後半から90歳代の計46人を対象に調査した。
調査の目的は「同じ昔話を聞いた人々がどのような教訓やメッセージを読み取るか分析すること」(坂本准教授)。参加者には標準語で書かれた昔話のテキストが渡され、「シマユムタ伝える会」の鈴木るり子会長(74)がシマ言葉で朗読。奄美の昔話集から選定した12話を基に、インタビュー形式で進められた。
今年は9月6~12日の間、奄美市名瀬や笠利町、瀬戸内町、宇検村などを訪れ、最終日は、鈴木さんの自宅で名瀬出身の50歳代、70歳代の女性が参加。2人は「標準語教育を受けた世代」とし、「感想を述べ合うことで物語の余白を感じることができた」などと感想を語った。
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報告では「教訓やメッセージ」を感じたとする252件の回答を抽出し、参加者たちの解釈を分類。「対人関係規範」(親子関係や信頼、約束、ジェンダーなど)が52・0%と最も多かったが、「道徳的規範に限らず、生活上の知恵や民族的知識、超自然的世界観にも広がっていた」と分析した。
昔話ごとの解釈の違いについては、「兄弟ど兄弟なりゅん」(兄弟の仲直り)は全員が「兄弟・血縁の結びつき」と読み取ったが、「マッタブ」(蛇聟入)は「夫婦や婚姻」「魔除け・厄除け」などと複数に上った。
一方、8割近くが「親子・孝行」と解釈した「きつつきとゆむんどり」(雀孝行)は同時に「多くの意味を読み取りやすい話」だと分かり、「人々の解釈のまとまり方と意味の読み取りは別の特徴がある」とした。
世代や性別、地域別など、属性ごとの考察もされたが、坂本准教授は「研究は集落や地域ごとの違い、特徴を見出すことではなく、環境と民話、道徳感形成の関連、個人の多様性を見ることが目的」とし、「昔話は道徳を伝達するだけの媒介物ではなく、話ごとに異なる方法で聞き手の解釈を方向付ける文化的産物」との見解を示した。
来年度は、主にアンケート形式で全国を視野に研究を継続。「奄美での調査は『感じ方』の収集にあった。今後は論文にまとめ、社会の課題解決につながる題材、材料にしていただけるよう成果を公表できれば」と述べた。


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