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国内に11頭しかいない 絶滅危惧種のマサイキリン・ヒマリが鹿児島へ 「お婿さん探し」に込められた命のバトン
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国内に11頭しかいない 絶滅危惧種のマサイキリン・ヒマリが鹿児島へ 「お婿さん探し」に込められた命のバトン

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「毎月お邪魔します!」――千葉からわざわざ足を運んだファンにそう言わせるほどの存在感を持つのが、2歳のメスのマサイキリン・ヒマリだ。2026年6月、ヒマリは鹿児島市の平川動物公園にやってきた。その背景には、絶滅危惧種の命をつなぐための地道な取り組みがある。

開園からもうすぐ54年を迎える平川動物公園には、コアラやオランウータンなど様々な希少な生き物が暮らしている。入り口を入ってすぐ正面に広がるのがアフリカ園で、その主役がマサイキリンだ。不規則な星形の模様が特徴で、生息地はアフリカ。現在、平川動物公園では父のハート、息子のハヤテ、弟のアヤトというオス3頭がお客さんを出迎えている。

キリンは2016年に絶滅危惧種に指定されている。中でもマサイキリンの状況は深刻で、1996年には国内に40頭いたのが、30年が経った現在では約4分の1にあたる11頭にまで減少した。平川動物公園に4頭、宮崎県に3頭、熊本県に3頭、福岡県に1頭と、いずれも九州でしか飼育されていない。

国内のマサイキリンはなぜここまで減ってしまったのか。福守朗園長はこう説明する。「野生では数が減っている。簡単に捕まえて輸入してということは難しくなってきている。別の問題として、キリンは大きな動物なのでアフリカから運ぶのは物理的に難しい」。野生個体の減少と、物理的な輸送という二重のハードルが、国内での頭数回復を阻んでいる。

そんな状況を打開するため、日本の動物園では国内でキリンを維持・増やす取り組みを進めている。その一つが「ブリーディングローン」制度だ。希少な動物が命のバトンをつなぐために子どもを授かれるよう、動物園同士で動物の貸し借りを行う仕組みである。

ヒマリは2024年に宮崎県で生まれた。このブリーディングローン制度によって2026年6月、鹿児島へやってきた。目的はお婿さん探し、つまり繁殖だ。飼育担当の松元悠一郎さんは「ゆっくりしているときもあれば、動き回っている時もあって、少しずつ環境に慣れているところ」と話す。

まだ表情があどけない2歳のヒマリは、「ちょっとこわがりな部分もあるが、好奇心旺盛で初めてのものに興味を示す一面もある」と松元さんは目を細める。ハート親子もすでにヒマリに興味津々で、繁殖に向けた同居はもう少し先になる見込みだ。

取材したこの日、一般公開に先がけて一足早くヒマリに会いにきたファンの姿があった。なんと千葉からの来訪だという。「もともと宮崎の動物園に通っていて、飼育員さんとお話しする機会があった。『生まれたよ』というので急いで会いに行って、それからずっとヒマリのファンです!」と目を輝かせた。鹿児島通いはしばらく続きそうかと問うと、「続きます!毎月お邪魔します!」と即答した。

松元さんは「ヒマリが大きくなっていく姿を応援してもらえたらうれしい」と語り、福守園長も「繁殖も大事ですが、お客さんに広く知ってもらい、アイドル的な感じになったら私たちもうれしい」と期待を込める。

ヒマリの一般公開は9月1日から時間を限定して行われている。希少な命をつなぐための取り組みに思いを馳せながら、その成長を見守りに平川動物公園へ足を運んでみてはいかがだろうか。