「本物の魅力をそのまま届けて」ビームスジャパン講師が説く、"伝統工芸品インバウンド戦略"の核心【鹿児島】
📰 全文
鹿児島市で7月15日、伝統的工芸品のインバウンド向け発信をテーマにしたセミナーが開かれた。登壇したのは、鹿児島の文化発信に実績を持つアパレルブランド「ビームスジャパン」のディレクター・鈴木修司さん。「客を喜ばせたいのなら価格じゃなくて品質・クオリティー」という言葉が、参加者の心に刺さった。近年、インバウンド(訪日外国人)が増加傾向にある中、鹿児島県は伝統的工芸品の認知度向上と海外市場の拡大を目的として、このセミナーを開催した。製茶業界の関係者や伝統的工芸品の事業者など、オンラインを含めて約60人が参加し、メモを取ったり質問をしたりして熱心に耳を傾けた。
鈴木さんが強調したのは、海外向けだからといって商品を安易にアレンジしないことの重要性だ。
「大島紬であれば大島紬の魅力を全開で伝えてほしい。『海外の人は着物を着ないだろう』と、下手にこちらでその国の人が使うことを想像して変えたりしない方がいい」
価格についても同様の考え方を示した。「値段はもしかしたら考えるのは2番目・3番目でいいんじゃないか」と述べ、まず品質で勝負することを促した。
ビームスジャパンは2021年に鹿児島県特産品協会と連携し、薩摩切子や大島紬といった鹿児島の伝統工芸品・特産品を東京のショップで取り扱い、鹿児島の文化発信を実践してきた実績がある。その経験に裏打ちされた言葉は、参加者にとって具体的かつ説得力のあるものとして受け取られた。
セミナーを通じて、参加者の意識にも変化が生まれた。ある参加者はこう語った。
「英語で魅力を伝えるということはすごくやるべきことだと思っていたけど、きょうのセミナーでは若干反対の方向だった。日本人向けのパッケージを含めたところで全体のコンセプトやターゲットを考えていかないといけない」
海外展開というと、まず「英語対応」や「外国人好みへの改良」を思い浮かべがちだ。しかし鈴木さんが示したのは、むしろ日本のものを日本のままに磨き上げ、その本質的な価値を発信するという考え方だった。
鹿児島が誇る薩摩切子や大島紬といった工芸品が、世界の市場でどのように評価されるか。そのカギは、品質への自信と、ありのままの魅力を伝える姿勢にあるようだ。