カゴミル 鹿児島の今のニュースを、まとめて。

← 一覧
茶葉が急高騰 鹿児島の生産現場は今 
観光・グルメ 鹿児島ニュースKTS 👁 2

茶葉が急高騰 鹿児島の生産現場は今 

📰 全文
お茶の生産量2年連続日本一の鹿児島で、茶葉の急激な価格高騰が起きています。

海外での抹茶ブームを背景に影響を受けるお茶の生産現場の現状に迫ります。

鮮やかに広がる南九州市の茶畑。

一番茶の収穫が終わり、二番茶の収穫が行われています。

55ヘクタールあるこの土地で、祖父の代から荒茶を生産する下窪健一郎さんです。

Q.覆いをかぶせることでどういった効果があるんですか
下窪勲製茶・下窪健一郎社長
「鮮やかな色を出す。濃い緑、特有の香りを生み出すことができる」

下窪さんはここで2種類のお茶を育てています。

急須で飲む煎茶と抹茶の原料である「てん茶」です。

どちらも同じ木からとれ、バロンと呼ばれるカバーをかぶせる期間に違いがあるそうです。

下窪勲製茶・下窪健一郎社長
「煎茶とてん茶の被覆の期間が違う。煎茶は短い。大体1週間くらい。てん茶はその倍被覆をする」

当初は煎茶のみの栽培でしたが、2年前からてん茶の栽培をはじめました。

下窪勲製茶・下窪健一郎社長
「てん茶を作ることで、煎茶を適期に摘むことができる。覆いかぶせの期間が違う」

現在てん茶の生産は、全体の6割を占めるといいます。

2年前にはてん茶の工場を新たに建設しました。

下窪勲製茶・下窪健一郎社長
「蒸して乾燥するだけなので、てん茶は蒸してから1時間ぐらいで製品になる」

てん茶に軸足を置くようになったのにはこんな理由があります。

下窪勲製茶・下窪健一郎社長
「偶然にもコロナが明けてインバウンドの関係で外国人の方が増えてきて、抹茶のほうに関心もあったのでいいチャンスだなと。ここ何年かお茶の価格も悪かったりして経営も大変だった、また頑張ることで皆さんやる気も出てくる」

「ソーグッド」

世界的な抹茶ブーム。

この日もカナダから観光に来た夫婦が鹿児島にお茶を求めて訪れていました。

カナダから
「毎朝ミルクで割って、抹茶を飲むの」
「抹茶をそのまま飲むことが好きで、自然な茶葉の味を楽しみたい」

2020年に県内で先駆けて抹茶の加工工場を整備した池田製茶。

現在は毎日、フル稼働の状態です。

池田社長もこの抹茶ブームの広がりに驚きを隠せません。

池田製茶・池田研太社長
「ここまで大きくなるとは思っていなかった。そうなればいいなと思っていたのが来た感じ。まだスタートの段階かと思う。鹿児島のお茶の魅力を知ってもらえれば、どんどん広がりを見せていくのではないか」

高まる、抹茶の需要。

茶の種類別の生産量の推移を見ても、年々てん茶が存在感を増していることが分かります。

一方、県内のお茶全体の生産量が横ばいや微増の状態が続く中、てん茶の割合が増えると煎茶の量は減少します。

お茶の専門家は、その結果起きる現象についてこう説明します。

農林中金総合研究所・山本裕二研究員
「国内の消費者が抹茶の消費を多く増やしたとは聞いていない。国内のインバウンド向け需要、輸出向けに伸びている。煎茶からてん茶への転換が起きているので、相対的に煎茶の需給が引き締まる状況が長く続く」

県内の一番茶の取引価格の推移をみてみると、価格の伸びはここ数年は著しく、2026年は1キロあたりの平均価格が5228円と、2025年の2倍以上になりました。

煎茶はペットボトルの飲料にも使われ、このまま高騰が続けば身近なお茶の値段に反映される可能性もあります。

そんな中、県外の企業が鹿児島で茶の栽培に取り組む事例も。

南九州市知覧町のこちらの茶畑で栽培を行っているのは大阪に本社を置く飲料メーカー、ライフドリンクカンパニーのグループ会社です。

LDアグリ・浅井祥平社長
「2年前からすると一番茶でだいたい3~4倍の価格になっている。我々が受け皿になることで少しでも貢献できる。何かがあるのではないかと可能性は感じている」

ライフドリンクカンパニーは流通大手のイオンのプライベートブランドなど、年間10億本のペットボトル飲料を生産していて、2026年4月から茶葉の生産を始めました。

LDアグリ・浅井祥平社長
「蒸し時間を微調整しないといけないので非常に重要な工程」

もともと40年ほど前から南九州市で茶葉を仕入れていましたが、煎茶の需要が供給を上回る中、茶畑を借り、地元の農家の協力を得ながら原料を自社で生産することにしたのです。

LDアグリ・浅井祥平社長
「急須で飲む文化からペットボトルでドリンクとして飲む風潮が広がっていると思うが、それでも変わらずお茶は日本人の強いアイデンティティーを持ったドリンク。そういう意味では非常に重要な位置づけの場所」

2年連続荒茶の生産量が日本一となり、お茶王国となりつつある鹿児島。

関係者は国内外の需要を見極めながら安定的な供給を目指し、模索を続けています。