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牛肉の不適正表示は故意ではなく「過失」 水迫畜産前社長は辞任し次男が新社長に 鹿児島県警は任意捜査に着手
総合 KKB鹿児島放送

牛肉の不適正表示は故意ではなく「過失」 水迫畜産前社長は辞任し次男が新社長に 鹿児島県警は任意捜査に着手

📰 全文
問題の発覚から1カ月、初めて公の場で口を開きました。
牛肉の原産地などを不適正に表示して販売していた水迫畜産が初めて会見を開き謝罪と原因を説明しました。

【水迫畜産 水迫栄治社長】
「心から深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません」

会見では10日付けで水迫畜産の社長に就任した水迫栄治社長らが、今回の原因について説明しました。

【水迫畜産 水迫栄治社長】
「原料牛肉が本来の原産地と違っていたにもかかわらず加工する商品に見合った原産地だと思い込み、牛肉を仕入れた際の納品書を確認することなく使用する原料を指示していました」

水迫畜産の商品はふるさと納税の返礼品にもなっていて、会見では、チェック体制の甘さが原因とした上で、あくまで過失であることを強調しました。

【水迫畜産 水迫栄治社長】
「ただ単純にこのミスは個人の責任者のミスだと感じてる。私どもが意図してやっていないという背景にはそういったこともありますが、それで膨大な利益を得るのは難しいと考えております」

会見には水迫政治前社長は不在で、説明責任について問う質問にはー

【水迫畜産 水迫栄治社長】
「実態としてでは運営に対して中心的になって判断したり指示出したりということができるかといいます、とその辺においては私自身がほとんどやっていたのが現状でございます。その分まで私の方でしっかりと対応していきたいと思っております」

県産和牛は県が一体となって築き上げたブランドです。

【水迫畜産 水迫栄治 社長】
「私自身、鹿児島県産黒毛和牛をどれだけブランド化していこうか、それだけ高く評価していこうかと取り組んできた人間ですし、会社の部門がこのような問題を起こしたことに大変非常に悔しいのと同時に同業者の皆さんには大変申し訳ない。今後、そこの信用回復をしていくかというところにも一歩一歩積み重ねて進めて参りたい」

なお、ふるさと納税の返礼品を受け取った人への補償についてはそれぞれの自治体と協議するとしています。

【解説】
ここからはこの問題を取材してきた田上記者とお伝えします。

―水迫畜産の不正表示の発覚から1カ月を迎えたきょう、初めて公の場で謝罪と説明が行われましたね。

【田上】
きょうは農水省に対し水迫畜産が原因や再発防止策をまとめた報告書を提出する期限でした。それに合わせて会見を開きましたが、水迫政治社長は高齢などを理由に出席せず、本日付けで辞任することも発表されました。

―会見では不正表示の経緯や原因について説明があったんですよね。

【田上】
今回の不正表示は大きく分けて3つあります。
「黒毛和牛」以外の品種を「黒毛和牛」と表示していた問題と原産地を不正表示していた原因について、「在庫管理者など各工程を1人で担当しチェック体制が不十分だった」としました。

―そしてもう1つが異なる「個体識別番号」をもつ複数の牛を「1つの個体識別番号」のみ表示していたという問題ですが、そもそも個体識別番号ってどういう意味があるものなんでしょうか。

【田上】
日本国内で飼育される牛は1頭ごとに番号が割り振られ、どこで生まれて育ったか分かるようにしています。
これは農水省が公表した水迫畜産の不正表示の一例ですが、このようにスーパーなどで肉を買う際にも商品ラベルに表示されています。食品の安全確保には欠かせないものです。

この個体識別番号を不正表示していた原因については「個体識別番号とは別に管理のためにロット番号というものを振っていた。
制度を誤認し、商品ラベルにロット番号として表示すべきところを個体識別番号を記載していた」と説明しました。

会見では終始、「悪意や故意を否定し、あくまでチェック体制の不備や部門責任者の確認不足」を強調しました。
ただ従業員の処分は行っておらず、チェック体制の強化と社内教育などを充実させ再発防止を図るとしました。

―この問題はふるさと納税にも大きな影響を及ぼしていますよね。
県内の8つの市や町であわせておよそ4万7000件、寄付額の総額はおよそ7億7000万円と、異例の規模にも見えますが、水迫畜産はどう対応するのでしょうか。

【田上】
会見で水迫畜産は「確定したものはないが自治体との協議はつまってきている」とし、これまで自治体に説明していた代替品を送るなどの方針は明確には示しませんでした。

代替品を送ることには自治体の関係者からも「水迫畜産からの代替品も受け取りたくないという声も出てきている」と、対応の難しさを漏らしていました。

―ふるさと納税の寄付は自治体の収入となり、様々な財源となっていますよね。
自治体は今後どのような対応を取ることが考えられるのでしょうか。

【田上】
全国であった同様の事案では自治体が不正を行った事業者に対し損害賠償請求をしたケースもあります。鹿児島市や南九州市など最初にこの問題が判明した4つの自治体は足並みを揃えて今後の対応を検討するとしています。

―自治体への影響もそうですが、農家さんたちも一連の問題に悔しい思いをしているのでは?

【田上】
県内最大手のカミチクホールディングス・上村昌志会長がきょう、この問題について言及しています。

【カミチクHD・上村会長】
「嘘やろと思いました。今時そういうことあるのかよと。私も長年、お付き合いのある会社ですし、カミチクグループももともとは畜産農家。畜産農家がそれしちゃいかんやろと。鹿児島の農家さんたちに何て言うのと。すごく悔しい思いと腹立たしい思いでいっぱいになりました。人間ですから過ちはある。表示ラベルを打ち間違えたというのはあると思う。ただこれをチェックできる機能が必要。誠心誠意もう一回作り直されていかれると思うし、期待しています。それができないのであれば、畜産業だけ残して精肉はやめたほうがいい。これは社会にとっての責任」

【田上】
捜査機関の動きですが、前提としてこの問題は自治体からの刑事告発や被害届がなくても捜査を行えます。
県警関係者は「農水省からの情報共有は受けており、社会的な疑念や疑惑が強い問題と認識している」と警察も注視していて、県警幹部によると「任意捜査に着手した」ということです。

―これからの動き次第では、さらなる問題に発展する可能性もありますね。
ここまで水迫畜産の不正表示の問題をお伝えしました。