杉良太郎「すきま風」熱唱 鹿児島・国立ハンセン病療養所星塚敬愛園で慰問公演
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厚労省特別健康対策監の歌手で俳優、杉良太郎(81)が21日、鹿児島・鹿屋市の国立ハンセン病療養所星塚敬愛園で慰問公演を開催した。不治の病と誤解されたハンセン病の患者を隔離する「らい予防法」が1996年に廃止後、30年の節目に訪問。過去に差別を受けた入所者らを前に76年のヒット曲「すきま風」などを熱唱して喜ばせた。妻で歌手の伍代夏子(64)、山本譲二(76)も出演した。星塚敬愛園の入所者は46人で平均年齢90歳。杉は1970年代後半の人気主演時代劇「遠山の金さん」を知る観客に、「皆さん、お忘れではないでしょうか…私が杉良太郎です」とユーモラスにあいさつし、会場は和やかな笑いであふれた。
同園は全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所のひとつ。杉は同作の主題歌「すきま風」や77年の「明日の詩」などのヒット曲を熱唱した。
感染症であるハンセン病は皮膚などが侵される病。顔や手足などに後遺症が表れることがあり、偏見と差別の対象となったが、実際の感染力は弱く、治療法は40年代から発達。現在は日常生活をしながら治療できる。
杉は89年、チャリティー公演で訪れたベトナムで路上に倒れたハンセン病患者と遭遇。助けようとするも、周囲は感染を危惧して杉を制止。杉は患者のポケットに治療費として約100ドルを入れて立ち去ったという。
悔やまれる思いから、91、96年に熊本の国立ハンセン病療養所、菊池恵楓園を訪問。96年には舞台「遠山の金さん」を上演したが、決めぜりふ「これにて一件落着」では言葉に詰まったと明かした。
「一件落着でない人の前で『これにて』の次が言えない。みんなが頑張れって拍手をしてくれて、勇気を振り絞って『一件落着』と言ったときは聞いたことのないようなすごい拍手だった」
この日も入所者の「杉さま~」の声援や笑顔の歓声に「あのとき(恵楓園の舞台)は銭金で買えない真実の拍手や笑顔だった。私は皆さまから真実を教えられ、育てられました」と感謝した。
前日20日には同じ鹿児島の国立療養所奄美和光園も慰問。入所者に「苦しみながら生きてきたんですから、楽しみを見つけて人生を全うしてほしい」と呼びかけた。
杉は15歳から刑務所慰問を始め、被災地の復興支援や国際文化交流に尽力。らい予防法廃止から30年を受け、人権意識の風化を防ぐため「無知が差別や偏見を生む。行かないところがあるのは社会貢献活動としては不平等」と全13カ所の慰問を約束した。(山内倫貴)
★伍代18年ぶり訪問 笑って「幸せに」
伍代は2008年以来18年ぶりに星塚敬愛園を訪問。入所者に「笑うことが一番健康にいい。面白くなくても笑うこと。あとは人に感謝の気持ちを伝えること。みんなで幸せになれます」と伝授し、ヒット曲「金木犀」「人生にありがとう」を熱唱した。山本は「こんにちは、北島三郎です」と笑わせるなど和やかな雰囲気作りに一役買い、「みちのくひとり旅」などを披露。杉は警察庁特別防犯対策監として特殊詐欺の撲滅活動にも尽力している。