地下13メートル、細く長いらせん階段を降りた先に現れた近未来的な”横穴”――鉄の格子、銀色に光る太いパイプ、地中に広がる巨大空間に圧倒された 鹿児島市の東西道路ルポ
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鹿児島市を東西に貫く幹線道路「中洲通り」の地下13メートル。細く長いらせん階段を下りきった先に、鉄の格子に覆われた近未来的な“横穴”が現れた。天井には銀色の鈍い光を放つ太いパイプが一直線に続いている。4月下旬、建設が進む鹿児島東西道路のトンネル工事の進捗(しんちょく)状況を取材し、県都の地中にある巨大な空間に圧倒された。同市の田上インターチェンジ(IC)と甲南IC(仮称)を結ぶトンネルは全長約2.3キロ。掘削作業は2023年11月から始まり、すでに98%が終わった。
甲南IC近くにある「防音ハウス」と呼ばれる構造物が、地上からトンネルへとつながる「立坑(たてこう)」を覆う。立坑を下り、大型掘削機械シールドマシンが掘り進めた直径11メートルのトンネルに足を踏み入れると、世界から隔絶された感覚を覚えた。
コンクリートと金属が混じったような土っぽい匂いが漂う内部は、じっとりとして薄暗い。国土交通省の工事担当者の説明を聞きながら、思わず汗ばんだ手のひらを拭った。
無機質な格子状の鋼材は、地中の圧力や地下水などからトンネルを守る壁。天井を走る直径2メートルの巨大パイプ「風管」は、酸素の少ない作業現場に空気を送る“命綱”だ。
当初、25年夏を目指した貫通時期は大幅に遅れている。鹿児島国道事務所の瀬戸祐介所長は「(田上側の)出口付近に大きい石があり難航した」と説明する。ただ残りは36メートル。足元に延びるコンクリートの平面を見て、車が次々と走り去る開通後を想像した。
●鹿児島東西道路
国が整備する東西幹線道路(計画延長約6キロ)の中で、鹿児島IC-甲南ICの約3.4キロを結ぶ区間。うちトンネル(下り線)は田上IC-甲南ICの2.3キロ余り。甲南側から掘り進め、4月27日時点で掘削率は98%余りに達した。上り線の着工時期は未定。総事業費は2025年12月の再評価で、371億円増の1559億円となった。整備目的は、九州自動車道などの結節点となる鹿児島ICと鹿児島市街地のアクセス機能強化や渋滞緩和とされる。