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合わせは30分!? 生徒主体の合唱練習重ね、鹿児島高初の全国金へ
観光・グルメ 朝日新聞

合わせは30分!? 生徒主体の合唱練習重ね、鹿児島高初の全国金へ

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 鹿児島市の私立鹿児島高音楽部が10月24日に大阪市で開催される第79回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)に出場する。4年連続9回目出場の常連校だが、これまで金賞を受賞したことはない。生徒たちと指導者が力を合わせ、創部初の栄冠を目指す。(浦上慧伍)

■歌唱指導は3年生が中心

 「音を当てるために眉毛をあげましょう」「ブレスから音楽をつくろう」「もっとうしろから声を飛ばすイメージで」――。

 全国大会まで残り1カ月となったある練習日。各パートで部員の前に立って歌唱指導をしていたのは3年生だった。

 多くの合唱団が、大会直前は指揮者の指導のもと、全員で練習をする「合わせ」を重視するが、鹿児島高の練習は生徒が指導するパート別の練習が中心だ。

 この日、3時間の練習で指揮をする片倉淳教諭(62)が指導したのは1時間ほど。普段はわずか30分程度という。片倉教諭は「(合わせが)1時間もらえるとうれしくて」と笑う。パート練習の内容は生徒が自分たちで考える。片倉教諭は、「時々のぞくと、こんなすごいことやっているのかとびっくりする」。

 生徒主体の音楽の基礎となっているのが「家族」と呼ばれる七つのグループだ。3年生が「親」、下級生が「子ども」として練習はもちろん、一緒にごはんを食べるなど、日頃から学年や性別の分け隔てなく交流している。

 しかし、生徒だけで練習を進める難しさもある。学生指揮者の馬場杏奈さん(17)は「可視化されない音楽を伝えるのは難しい」と悩みを明かす。

■簡単には共感できない曲の理解を後押しする指導者

 鹿児島高は自由曲に未出版の「混声合唱とピアノのための『かすかに残る香りのように』」を選んだ。

 ハンセン病の元患者・塔和子さんの詩を元にした作品で、隔離された療養所生活で自分の名前すら明かすことが許されない絶望の中、大切な人との思い出を紡いで小さな希望をともす。

 未出版の曲は過去に演奏した音源や第三者の解釈を参考にできない。生徒たちは詩を読み込み、塔和子さんやハンセン病について書かれた記事などをもとに意見を交わした。

 それでも簡単には共感できない作品の理解を後押ししたのは片倉教諭による「合わせ」だった。

 「p(音楽記号でよわくという意味)で曲がはじまるのはなぜ?」「この8分休符の意味は?」と繰り返し問いかけた。

 部長の切原くるみさん(17)は「この音符や休符はなぜここにあるのか」「私たちが歌っている意味はなにか」と考えることが曲に対する思いを強くしたという。日常生活でも、「この詩は今の感情を言っているのではないか」とふと感じるようになった。

 片倉教諭は「合唱は一人ひとりがいかに表現するかが大事」と語る。一人ひとりが意見をもたないと自分たちの歌にならないと考えている。生徒たちはパート練習や個人練習で解釈を深め、合わせは「宿題を出す場」という。

 馬場さんは「私たちの声を聞いて曲作りに反映してくれる」と片倉教諭への信頼を語る。

■挫折乗り越え、創部初の栄冠へ

 鹿児島高は毎夏、全日本合唱コンクールとNHK全国学校音楽コンクールの二つのコンクールに挑戦し、昨年と一昨年はどちらも全国大会に進んだ。しかし、今年は8月のNコンでは全国大会を逃した。

 切原さんは「あんなに悔しい思いをしたのは初めてだった」と振り返る。挫折を味わったからこそ、創部初の全国大会での金賞受賞への思いが強くなった。「片倉先生に金メダルをかけてあげたい」

 片倉教諭と歌い手の信頼関係が鹿児島高の音楽に磨きをかけてきた。それぞれの思いを重ねて表現した音楽で全国大会に臨む。(浦上慧伍)

 鹿児島市の私立鹿児島高音楽部が10月24日に大阪市で開催される第79回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)に出場する。4年連続9回目出場の常連校だが、これまで金賞を受賞したことはない。生徒たちと指導者が力を合わせ、創部初の栄冠を目指す。(浦上慧伍)

■歌唱指導は3年生が中心

 「音を当てるために眉毛をあげましょう」「ブレスから音楽をつくろう」「もっとうしろから声を飛ばすイメージで」――。

 全国大会まで残り1カ月となったある練習日。各パートで部員の前に立って歌唱指導をしていたのは3年生だった。

 多くの合唱団が、大会直前は指揮者の指導のもと、全員で練習をする「合わせ」を重視するが、鹿児島高の練習は生徒が指導するパート別の練習が中心だ。

 この日、3時間の練習で指揮をする片倉淳教諭(62)が指導したのは1時間ほど。普段はわずか30分程度という。片倉教諭は「(合わせが)1時間もらえるとうれしくて」と笑う。パート練習の内容は生徒が自分たちで考える。片倉教諭は、「時々のぞくと、こんなすごいことやっているのかとびっくりする」。

 生徒主体の音楽の基礎となっているのが「家族」と呼ばれる七つのグループだ。3年生が「親」、下級生が「子ども」として練習はもちろん、一緒にごはんを食べるなど、日頃から学年や性別の分け隔てなく交流している。

 しかし、生徒だけで練習を進める難しさもある。学生指揮者の馬場杏奈さん(17)は「可視化されない音楽を伝えるのは難しい」と悩みを明かす。

■簡単には共感できない曲の理解を後押しする指導者

 鹿児島高は自由曲に未出版の「混声合唱とピアノのための『かすかに残る香りのように』」を選んだ。

 ハンセン病の元患者・塔和子さんの詩を元にした作品で、隔離された療養所生活で自分の名前すら明かすことが許されない絶望の中、大切な人との思い出を紡いで小さな希望をともす。

 未出版の曲は過去に演奏した音源や第三者の解釈を参考にできない。生徒たちは詩を読み込み、塔和子さんやハンセン病について書かれた記事などをもとに意見を交わした。

 それでも簡単には共感できない作品の理解を後押ししたのは片倉教諭による「合わせ」だった。

 「p(音楽記号でよわくという意味)で曲がはじまるのはなぜ?」「この8分休符の意味は?」と繰り返し問いかけた。

 部長の切原くるみさん(17)は「この音符や休符はなぜここにあるのか」「私たちが歌っている意味はなにか」と考えることが曲に対する思いを強くしたという。日常生活でも、「この詩は今の感情を言っているのではないか」とふと感じるようになった。

 片倉教諭は「合唱は一人ひとりがいかに表現するかが大事」と語る。一人ひとりが意見をもたないと自分たちの歌にならないと考えている。生徒たちはパート練習や個人練習で解釈を深め、合わせは「宿題を出す場」という。

 馬場さんは「私たちの声を聞いて曲作りに反映してくれる」と片倉教諭への信頼を語る。

■挫折乗り越え、創部初の栄冠へ

 鹿児島高は毎夏、全日本合唱コンクールとNHK全国学校音楽コンクールの二つのコンクールに挑戦し、昨年と一昨年はどちらも全国大会に進んだ。しかし、今年は8月のNコンでは全国大会を逃した。

 切原さんは「あんなに悔しい思いをしたのは初めてだった」と振り返る。挫折を味わったからこそ、創部初の全国大会での金賞受賞への思いが強くなった。「片倉先生に金メダ

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