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鹿児島県 台風の後遺症、世界自然遺産の森にも 井之川岳で木々の色あせ 潮風による塩害か、生態系への影響懸念 徳之島
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鹿児島県 台風の後遺症、世界自然遺産の森にも 井之川岳で木々の色あせ 潮風による塩害か、生態系への影響懸念 徳之島

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 【徳之島】台風18号が徳之島などに接近・通過してから1か月余り。家屋や農作物の被害、停電、情報通信網の障害など、島民の暮らしに台風の爪痕が残る中、世界自然遺産のコア・エリアで、奄美群島国立公園の特別保護地区を含む徳之島の最高峰・井之川岳(645㍍)周辺の森林でも、台風によるとみられる「後遺症」が目立ち始めた。

 特に変化が顕著なのは、太平洋に面する東側斜面から山頂部にかけて。台風18号の猛烈な東寄りの暴風に潮風が混じり、森林が強風と塩分にさらされたことで、塩害が生じた可能性がある。常緑の照葉樹林が一面に色あせ、場所によっては茶褐色に変化。山頂の一部では岩石も露出し、本州の〝秋の山岳地帯〟を思わせる光景となっている。
 徳之島町井之川の70代の農業男性は「台風が通過した後、秋晴れの強い日差しが続くのとともに、東側の斜面から頂上にかけて緑が失われ、まるで活火山の桜島のような風景に変わった。サトウキビなどの農作物以外で、台風の塩害で山がここまでの光景になったのは初めて」と話す。

 井之川岳とその周辺には、スダジイ(イタジイ)やアマミアラカシ、オキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹が分布する。山頂付近は霧が発生しやすく湿度も高いため、シダ類やコケ類、着生植物など、多様な植物が自生している。

 台風による森林への影響は、枝折れや倒木だけではない。強風で枝葉が激しく擦れ合うことで、葉の表面を覆う保護層が傷つき、そこへ潮風が吹き付けると、葉の脱水や生理障害が進むとされる。葉の組織が傷み、葉緑素が失われることで、緑色が薄れ、茶褐色に見えるようになる可能性がある。

 色あせた樹木は、傷んだ葉を落とした後、春先の「うりずんの季節」(3~4月頃)に新芽を出し、再び緑を取り戻すとみられる。一方、今回のように強風と塩害が広範囲に及んだ場合、回復の程度については継続的な観察が必要となる。

 森林の林冠が大きく損なわれると、これまで日陰だった林床に日光が入り、温度や湿度などの環境が変化する可能性がある。湿潤な環境を好むシダ類やコケ類、ラン類などへの影響が懸念されるほか、樹木の枝葉や果実、堅果類を利用する昆虫や鳥類などにも影響が及ぶ可能性が。特に、ドングリなど堅果類や新芽、地下茎を主食とするアマミノクロウサギやケナガネズミ、トクノシマトゲネズミなどが餌不足に陥る懸念も。希少野生動物が餌を求めて道路や農地、人里へ移動すれば、ロードキル(交通事故死)や農作物被害などの二次的な問題につながる可能性も指摘される。

 徳之島では、台風13号が8月7、8日に接近した際にも東寄りの暴風や高潮に見舞われ、護岸が洗掘されるなどの被害が発生。台風18号でも東寄りの猛烈な風が吹き、天城町では観測史上1位となる最大瞬間風速を観測。家屋被害などが相次ぎ、徳之島町には災害救助法が適用された。

 停電や通信障害も長期化し、台風18号が社会生活に残した影響が大きい一方で、森林でも、目に見える色の変化だけでなく、その後の新芽の生育や結実、野生動物の動きなどを含め、長期的な観察が求められそうだ。

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