血液搬送装置ATRの実務訓練実施へ 輸血供給体制改善で検討会 奄美大島
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鹿児島県奄美群島の輸血供給体制の改善を目指す「奄美大島における血液製剤供給体制検討会」が20日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。県赤十字血液センターと県、島内の行政、医療機関などの関係者26人(オンライン含む)が参加。台風シーズン前に血液搬送装置「ATR」の実務訓練を実施することを決めた。群島内で要望が上がっている血液備蓄所の再設置については継続協議となった。同検討会は2021年5月に始まり、今回が6回目。島内5市町村、大島郡医師会、県立大島病院、名瀬保健所のほか、県赤十字血液センター、県合同輸血療法委員会の担当者が出席。厚生労働省、東京医科大からもオブザーバーが参加した。
ATRはアクティブ・トランスポート・リフリジレーターの略。バッテリーで庫内を摂氏2~6度に保つことができ、輸送中の血液製剤の保存が可能になる。昨年9月に県立大島病院で運用を開始したが、航空便が2日以上欠航するなどの使用条件を満たす機会がなく、実績はゼロ。協議では実際の運用を見据えて台風シーズン前の実務訓練実施を決めた。
備蓄所の再設置については、同センターの濱﨑順一郎所長が「議論を進めるためにも大島病院の血液製剤の在庫や廃棄率などのデータが必要」と要望。具体的な情報共有について今後検討していく方針を固めた。
検討会に参加した大島病院麻酔科の大木浩部長は「血液センターが奄美群島全体を考慮していることや、ATRの運用と備蓄所の再整備を別の問題と切り分けて考えていることが分かっただけでも収穫。根本的な改善のために、今後も備蓄所の再整備実現に向けて取り組みたい」と話した。
奄美群島では18年3月に日本赤十字社(日赤)が業務委託していた奄美大島所在の血液備蓄所が撤退。以降、医療機関が個別に血液製剤を備蓄しているが、血液製剤には使用期限があり大量の備蓄はできない。
群島内の医療機関では大量の輸血が必要な際は、供血者から採血して輸血する院内血(生血)を使用せざるを得ない状況が続いているが、血液製剤に比べ感染症などのリスクが高い。群島12市町村が血液備蓄所の再整備を求める意見書をまとめるなど改善を求める声が高まっている。
検討会事務局の県保健福祉部薬務課の報告によると、赤血球製剤の供給数(17年度以降)は3000~3500本、生血輸血をした人数(16年度以降)は1~6人で推移している。