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「曲がり」だから7割の値段…規格外ウナギが職人の蒲焼きに 鹿屋の生産者が生み出した「規格外の可能性」とは【鹿児島】
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「曲がり」だから7割の値段…規格外ウナギが職人の蒲焼きに 鹿屋の生産者が生み出した「規格外の可能性」とは【鹿児島】

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規格外ゆえに市場価格の7割でしか売れないウナギが、ふるさと納税と地域の連携によって「職人手焼きの蒲焼き」として生まれ変わった。全体の約15%を占める「曲がり」ウナギに、鹿屋市の生産者たちが新たな価値を見出そうとしている。

鹿児島県鹿屋市がある大隅地域は、全国トップクラスのウナギ産地だ。鹿屋市の西日本養鰻は年間約600トンのウナギを養殖し、「活鰻(かつまん)」と呼ばれる生きた状態のウナギを九州各地に出荷している。

しかし、毎日大量の活鰻を出荷し続けるなかで、同社はずっとある思いを抱えていた。営業部長の窪田知浩さんは「もうずーっとやりたかったです、加工場に関しては。作っているからにはお客さんに食べてもらって『おいしい』という返答がほしい」と話す。生産者として、自分たちの手で加工まで手がけ、食べた人の反応を直接受け取りたいーそんな思いが、今回のプロジェクトの出発点になった。

プロジェクトの主役となるのが、業界で「曲がり」と呼ばれる規格外のウナギだ。一見するとごく普通のウナギに見えるが、背中のラインがわずかに曲がっている。エサを食べているときにウナギ同士がぶつかり合うことで体が曲がってしまうもので、全体の約15%に上る。

問題は見た目だけではない。窪田さんは「曲がっているところでさばいた時に包丁が1回止まるんですよね。それでさばきにくいというところで敬遠される」と説明する。その結果、市場価格は通常の約7割まで下がってしまう。しかし、身はやわらかく、味は規格内のウナギと変わらない。商品価値と本来の価値がかけ離れた状態が、長年続いていた。

かねてから野菜の加工を手がける地元企業「オキス」と交流があった西日本養鰻は、同社に相談をもちかけた。こうして「夢の蒲焼き」を実現するプロジェクトが動き出す。

加工場の整備費用として活用したのが、使い道を選べるクラウドファンディング型の鹿屋市のふるさと納税だ。この取り組みは大きな反響を呼び、目標の2500万円を大幅に上回る寄付が集まった。この寄付金の中から1000万円を鹿屋市は補助金として交付。日本料理店として使われていた市内の空き店舗を改修し加工場として整備する費用の一部にした。

オキスの岡本雄喜副社長は「『地域に還元していくぞ』という思いを新たにした」と語る。窪田さんも「鹿屋で加工して鹿屋の人に食べてもらう。それが一番いいなと」と笑顔を見せる。

曲がりウナギをさばくのはオキスの社員たちだ。これまで野菜の加工をメインに行ってきた彼らにとって、ウナギを扱うのは今回が初めて。2カ月間、ウナギ料理で名高い福岡県の柳川市などへ修行に出向き、技術を身につけた。

焼き上げには炭火と桜島の溶岩を使い、じっくりと旨みを閉じ込める。仕上げはショウガを隠し味にしたこだわりのタレ。「見た目は規格外だけど味は想像以上」という蒲焼きが完成する。

修行を経た社員はこんな言葉を明かす。「うちの社長は『トンカツぐらいの頻度で地元の人たちに食べてもらえればいいね』と」。特別な日のごちそうではなく、日常の食卓にウナギを届けたいという思いが込められている。

このプロジェクトが際立っているのは、蒲焼き以外の部位も余すことなく活用している点だ。肝はキムチに加工する業者に渡し、骨はペットフードへの活用を予定している。「規格外のウナギは規格外の可能性を秘めていた」という言葉が、このプロジェクトの本質を端的に表している。

現在は職人の手焼きゆえ、1日に加工できるのは約80尾にとどまる。それでも2026年の土用の丑の日分はすでに予約完売となった。今後は加工場での直売やネット販売、ふるさと納税の返礼品としての出荷も予定されている。

岡本副社長は「これをきっかけに鹿屋市の知名度をさらにアップして、この地域に還元できる事業になっていけば」と展望を語る。ふるさと納税が呼び水となり、産地の生産者と地元企業が手を組んだこのプロジェクトは、鹿屋市に新たな地域循環を生み出しつつある。