【鹿児島県警】警察学校に記者が体験入校!逮捕術・鑑識…「想像を超える」過酷な訓練と新人警察官たちの熱い思い
📰 全文
午前6時15分、足早に移動する新人警察官たち。向かった先は柔道場だった。姶良市平松にある鹿児島県警察学校。現在、86人の新人警察官が寮生活をしながら、半年から10カ月をかけて警察官に必要な体力・知識・技術を磨いている。そんな警察学校に、鹿児島テレビ入社2年目・県警担当の中川雅温記者が1日体験入校した。待ち受けていたのは、想像を超えるハードな訓練の連続。そして、それぞれの思いを胸に日々努力を重ねる新人警察官たちの姿だった。準備体操を終えると、すぐに10分間の駆け足と筋トレが始まった。時刻はまだ午前6時50分。体験入校は始まったばかりである。
朝のトレーニングを終えた後は、朝食と掃除を済ませ、8時50分から1限目がスタートする。この日の1限目は「逮捕術」。警察官として犯人を制圧・逮捕するための技術を学ぶ授業だ。
まずは安全に授業を行うための準備運動から始まるのだが、中川記者は早くも悲鳴を上げた。
「しゃべれないくらいしんどいです」
基本的な動作を学んだ後、試合形式で「逮捕術」に挑戦。素人では1発の打撃も与えることができず、日々の技術の積み重ねをまざまざと思い知らされる結果となった。
続いて挑戦したのは、「12呼間」というリズムに合わせてステップを踏むトレーニング。段々と表情が苦しくなり、足が動かなくなってくる。見かねた教官から2キロのダンベルが回され、苦しさにさらに拍車がかかった。10分間のトレーニングを終えると、その場に倒れ込んだ。
ハードな午前を乗り越え、待ちに待った昼食の時間。この日のメニューは皿うどんと白ご飯だった。食事をしながら、同じ班のメンバーに話を聞いてみた。
2026年4月に初任科長期生として入校した34歳の有川翔馬巡査。実はこの有川巡査には、意外な経歴がある。
「陸上自衛隊で16年働いていて」
陸上自衛隊のレンジャー部隊に所属していた経験も持つ有川巡査が、なぜ自衛隊を辞めて警察官を目指したのか。その理由は、小学2年生のころにさかのぼる。
「下校の時に迷子になって、その時の警察官がすごく親身になって、自分の目線になってくれて本当に優しくてカッコよくて憧れるようになった」
「(自衛隊にいた)16年間、警察官に対する思いがずっとあって、最初になりたかった警察官になりたいと思った」
幼いころに抱いた憧れを胸に、16年間の自衛隊生活を経て警察学校の門をくぐった有川巡査。その選択の重さと真摯さが伝わってくる。
午後の授業は鑑識からスタートした。交番に勤務する警察官も、現場では簡易的な鑑識作業を行うことがあるという。
実際にアルミニウムの粉末をビンにつけてみると、きれいに指紋が浮かび上がってきた。余分な粉を落とし、転写シートで貼り付けてみると、しっかりと指紋を採取できていた。
「100点でいいと思います!」
教官からの満点評価に、思わず笑みもこぼれる。警察学校ではこのほか、憲法や刑事訴訟法など警察業務に欠かせない法律、そして鹿児島のことについても学ぶという。
そしていよいよ、最後の授業。80分の体育で体を限界まで追い込む。かがみ跳躍にも挑戦したが、1日の疲れが積み重なり、まったくかがむことができなかった。
こうして、なんとかリタイアせずに1日体験を終えた。
こうしたハードな日々を、1日だけでなく毎日続ける新人警察官たち。話を聞いてみると、寝食をともにする同期の存在の大きさや、警察官への思いの強さが次々と語られた。
高校でワープロ部と茶道部に所属していたという下迫未来巡査は、入校前の不安をこう振り返る。
「体力面で追いつけるのか不安はあったが、互いに励まし合いながら協力し合いながらここまで来たので、同期の仲間の存在は大きい」
姉の背中を追って警察官を志した上牧瀬仁巡査はこう話す。
「姉が警察官で、勤務している姿に憧れて警察官になろうと決意した」
そして国本翔巡査は、力強くこう語った。
「県民の安心安全を守れるように、期待に応えられるようにこれから先の期間も頑張る」
体験を終えた中川記者が新人警察官たちと発した一言は「警察学校最高!」。
ハードな訓練の一方で、県警察学校の学生寮は全国でも珍しい個室タイプで、1日の疲れは毎日天然温泉で癒やすことができるという。
鹿児島県警では、高校や専門学校を卒業した18歳から36歳を対象に、7月15日から新人警察官の募集をスタートする予定だ。
それぞれの思いを胸に、私たちの暮らしを守るために日々努力を重ねる警察官たちの姿を、わずか1日ではあるが垣間見ることができた。
〜中川雅温記者本人の後日談〜
警察学校の1日を体験した記者は午後の授業から筋肉痛を発症。痛みのあまり、警察学校からの帰りの運転をカメラマンにお願いするほどでした。
翌日は体中のすべての筋肉が筋肉痛で、足一つ分の歩幅でしか歩けず、日常生活に苦戦しました。
同じ班のメンバーとは1日という時間でしたが、苦しいときに支え合ったことで絆が生まれたような気がしました。取材で感じた同期との絆や信頼関係が生まれる秘訣も実際に少しだけ体験することもできました。
改めて、半年から10か月もの間、この訓練に挑み、日々の町の安心安全を守る警察官のみなさんに敬意を表します。