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違法操業を巡回で防げ――最新装備で取り締まり能力は大幅強化 鹿児島県の漁業指導取締兼調査船・4代目「おおすみ」に密着
総合 南日本新聞 👁 2

違法操業を巡回で防げ――最新装備で取り締まり能力は大幅強化 鹿児島県の漁業指導取締兼調査船・4代目「おおすみ」に密着

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 鹿児島県の漁業指導取締兼調査船・4代目「おおすみ」が3月に完成した。水産資源が豊富とされる県内海域で、違法操業の取り締まりなどを担っているが、業務内容や成果が周知される機会は少ない。漁業秩序を陰から支える「海の仕事」を知ろうと6月中旬、パトロール航海に同行した。

 午前7時半ごろ、停泊中の串木野漁港(いちき串木野市)から乗船した。目を引くのは、真新しく白い船体。111トン、40メートル。歴代最大で、天候に左右されず安定航行できるという。先代から続投する川崎太船長(54)が「最大乗員も16人と多く、船内はゆとりのある設計」と教えてくれた。

 梅雨前線が九州を北上した影響で海上は荒れていた。乗組員は「このくらいの揺れなら問題ない」と余裕の表情。まもなく、西薩海域へ向けて出航した。主に警戒するのは、この時季に盛んな底引き網のツキヒガイ漁や、ごち網のマダイ漁での区域違反だ。

 取り締まり能力が大幅に強化された点が、4代目の特長の一つ。案内されたブリッジには、電光表示板の操作装置や周辺の船舶を検出する海上レーダーといった設備がずらりと並ぶ。漁船や旅客船とは役割が異なる船だと実感した。

 午前9時前、レーダーがはるか前方の点を捉えた。川崎船長が双眼鏡をのぞきながら指示を出し、通信士が最長5マイル(約9キロ)先まで見通せる最新鋭の海上監視カメラを操作すると、小型船がはっきりと映った。「(違法ではない)定置網の漁船だ」。モニターを囲む乗組員の緊張が緩むのを感じた。

 「おおすみ」は、県が所有する別の漁業指導取締船「制海」と2隻体制で、南北600キロにわたる県内の全海域を管轄。漁業法で禁じられた密漁や区域違反を摘発する権限を持つほか、不審な外国船などを発見した場合は、海上保安庁と連携して対処する。モジャコ(ブリの稚魚)の来遊状況の調査にもあたる。

 乗組員は専門資格を持つ県職員。航海士、機関士、通信士に分かれ、それぞれ2時間おきの交代制でブリッジへ上がる。この日のパトロールでは、漁具の位置を示す旗や遊漁船を発見したものの、違法操業の摘発はなかった。

 県水産振興課によると、「おおすみ」は同様の航海を年間100日以上実施。漁船や遊漁船に対する注意指導は100~200回ほどで、悪質性が認められた数件は検察庁へ書類送致したり操業停止の行政処分を下したりしている。

 一度の航海は3、4日にわたり、海上での集団生活となる。代替わりを機に全乗組員に個室が設けられ、生活環境も向上した。食事の準備や片付けは若手乗組員が担当する。以前は包丁を握ったこともなかった最年少の日高大輝さん(24)も、今では麺類や丼、揚げ物までお手のもの。「仕事は忙しいが、県内の漁業に深く携われる」とやりがいを語る。

 同行取材は約5時間と短めだったが、海の秩序を保つ仕事の一端に触れられた。「姿を見せるだけで抑止力になる。バランス良く県内全体をフォローし、違反をなくしたい」と川崎船長。漁業者が安心して働ける環境は、地道な取り組みに支えられているのだと再認識した。