鹿児島県、和牛オリンピックで3連覇を目指す!2027年大会に向けた取り組み
📰 全文
5年に1度、各都道府県が和牛の質を競う全国和牛能力共進会。大会は「和牛のオリンピック」とも呼ばれ、2027年8月の北海道大会まで1年余りとなりました。
2大会連続で和牛日本一に輝いた鹿児島では、3連覇を果たすためどのような取り組みを進めているのか、取材しました。
2022年に県内で開催された全国和牛能力共進会、通称、全共。
和牛の改良の成果を競う、5年に1度の和牛のオリンピックです。
地元・鹿児島は9部門中6部門で最優秀の首席を獲得!
2017年の宮城大会に続き、2大会連続で和牛日本一に輝きました。
あれから4年、今県内では2027年8月の北海道大会に向けた準備が進んでいます。
2026年4月、霧島市の姶良中央家畜市場で行われたのは大会の出品候補となる子牛の競りです。
各農協などから推薦された県内18の腕利き肥育農家たちが参加し、品定めします。
肥育農家
「生産農家がすごくいい牛を育ててくれているので、能力を出せるように我々は補佐するだけ」
「食いを安定させながら飼育していくことに気を遣いながら管理していかないといけない」
競りではあるものの、入札額が同じ場合は抽選です。
それぞれの肥育農家たちには、獲得した子牛の肉質をこの1年間で向上させていくことが求められます。
子牛を獲得した肥育農家の一つ、曽於市の加治佐龍さんの農場を訪ねました。
飼育される500頭の牛のうち、こちらの4頭が獲得した子牛です。
肥育農家・加治佐龍さん
「一頭一頭性格も食欲も食べ方も違うので、まだどういう風になるかわからないが、ただ期待しかしていない」
父親の後を継ぎ18年前に肥育農家になった加治佐さん、実は2022年の鹿児島大会にも県代表として出場していましたが…
肥育農家・加治佐龍さん
「成績的には『ちょっとふがいないな』『もうちょっといいところにいきたかった』と思うのでリベンジしたい思いもある」
リベンジに向け子牛を育てる日々が続く中、農場を定期的に訪れているのが県の指導員たちです。
指導員
「371kg。OKです」
全国で勝ち抜く肉質の牛を育てるため、どんな餌をどのくらい与えるべきか…。
加治佐さんと指導員らは方針を話し合います。
指導員
「本日時点の配合飼料の量を教えてください」
加治佐さん
「ほほえみ(飼料)400gに極前期(飼料)が3.8kg、合わせて4.2kg」
県内各地の肥育農家で、大会に向け飼育されている子牛は72頭。
このうち県代表の座を射止めるのはわずか8頭です。
指導員の中にはその絞り込みに関わるキーパーソンの姿もありました。
県肉用牛改良研究所・徳丸元幸研究主幹
「今年11月ぐらいから枝肉の断面を予想しながら測定していく計画」
徳丸元幸さんです。
所牛の肉質を調べる技術者として県の研究施設に務める徳丸さん。
この道32年、約6万頭の牛を見てきました。
徳丸さんが使用するのが、牛用に改造したこちらの超音波診断装置。
これで生きた牛のロースやバラの大きさ、サシの入り具合などを細かくチェックしていきます。
徳丸さん
「黒く見えるところがロース芯。ロース芯の中にサシが入っていれば良い肉質と判定する」
徳丸さんの牛を見定める確かな目が、これまでの鹿児島の和牛日本一に大きく貢献しているのです。
徳丸さん
「すごくいい牛が見つかった時は測定しながらワクワク感とかドキドキ感、『すごくいい牛だ』と分かる。そういう時にやりがいを感じる。全共となると、どうしても優秀な成績を上げないといけないので、プレッシャーを感じる。今までも結果が出るまでは食事も喉を通らない。」
ベテラン技術員ですら強いプレッシャーを感じる、それが全共です。
開催まで1年余りとなった全共に向け、鹿児島市のJA県会館にある総本部でも準備が進んでいます。
北海道大会の課題として関係者が口をそろえるのが、移動距離の長さです。
全国和牛能力共進会県推進協議会・草野昭徳委員長
「(北海道までの移動は)かなりの大事業と思う。最短で2泊3日、長くて3泊4日を想定している」
県代表の25頭が向かうのは、帯広市や音更町。その移動距離は約2400キロに及びます。
移動中の牛のストレスをいかにして軽減させるか。
会場到着後にどのようにして体力回復をはかるか。
実際に和牛を北海道に運びそこから課題の洗い出しなどを進める方針です。
草野委員長
「相性のいい牛もいれば、そうでないものもいるし、オス牛とメス牛も一緒にできない。(トラックの)積み合わせの方法も考慮しながらしていく」
牛を育てる肥育農家、優秀な牛を見分ける技術者、そして距離の問題と向き合うチーム、和牛オリンピックの3連覇に向けそれぞれが動き出しています。