「使命感で続けてきたが、限界」…鹿児島県内の訪問入浴事業所、10年で半減――職員不足や燃料費高騰が影響、公的支援求める
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鹿児島県内で、自力で入浴することが困難な高齢者らを介助する訪問入浴事業所の廃業・休業が相次いでいる。県によると、介護保険適用の事業所は2015年10月時点の52施設から、25年は28施設とおよそ半減。背景には職員不足や燃料費の高騰がある。利用者や事業者からはサービスの維持に向けて公的支援を求める声が上がっている。「入浴は生活の中で一番の楽しみ」。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う南九州市の樋渡久美子さん(61)は語る。
樋渡さんは5年前から週3回、同市を対象エリアに持つ鹿児島市の訪問入浴事業所を利用していた。ところが今年3月、職員不足などを理由に南九州市から撤退すると告げられた。
同市には事業所がない。代わりになる鹿児島市の事業所は自宅からの距離が遠く、サービス料金のほか1回当たり交通費3000円がかかるという。
訪問入浴は、体に湿疹などのトラブルがないか確認ができ、健康保持にもつながっている。樋渡さんは「自宅で過ごすには訪問入浴が欠かせない。行政には事業者が少ない地方の現状に目を向けてほしい」と訴える。
一方、事業者を悩ませるのが人件費や燃料費の高騰だ。収入源となる介護保険の基本報酬は決められており、経費が増えても利用料金には転嫁できない。
今年に入り一部地域から撤退した県内業者は「灯油代などのコストが収入を上回り、採算が取れなかった」と明かす。1日6軒以上の訪問で採算ベースに乗るが、中山間地域だと利用者宅までの距離が遠く、1日4軒程度という。燃料代や高速道路代、移動時間の人件費もかさむ。「使命感で続けてきたが、限界だった」と話した。
担い手不足も追い打ちをかける。訪問入浴は看護師1人と介護職員2人の計3人で行動する。薩摩川内市の福和園の伊達直子施設長(70)は「福祉業界は慢性的な人手不足。仕事の認知度が低く応募も少ない。スタッフにはフル回転してもらっている」と説明する。
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介護事業運営に詳しい鹿児島国際大学の中井康貴講師の話
訪問入浴は重労働の割に、低賃金で人が集まりにくい。デイサービスへの通所が難しい重度者もおり、中山間地域の移動コストを考慮した基本報酬や、加算の見直しが必要だ。