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地域の困り事、地域の力で解決 鹿児島県奄美市の「笠利さばくり隊」
総合 南海日日新聞

地域の困り事、地域の力で解決 鹿児島県奄美市の「笠利さばくり隊」

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 鹿児島県奄美市笠利町に根付きつつあるのが、高齢者らの困り事に寄り添うボランティアサークル「笠利さばくり隊」の活動だ。メインの活動は高齢者の買い物支援と墓参り支援。奄美市笠利国民健康保険診療所の橋口真征院長(45)を隊長に活動の輪を広げ、〝地域の困り事を地域の力で解決する〟を合言葉に、行く先々で高齢者らを元気付けている。

 同隊の始まりは2021年夏の盆明け。橋口院長が高齢者男性を診察中、「墓参りどうでしたか?」と声を掛けると、男性は涙を流しながら「足が悪くて何年も行くことができていない。(先祖に)申し訳ない」と訴えた。

 他の患者にも困り事はないか尋ねると「家の片付けができない」「買い物に行くことができなくなった」などの声が上がった。

 橋口院長と診療所職員らは解決に向けて話し合いを重ねて隊を発足し、同年11月の1回目の活動では、橋口院長の診察を受けた男性の墓参りを支援。男性は隊員の介助を受け、福祉車両から車いすに乗ったまま墓前へ。手を合わせると、隊員らに涙を流して感謝を伝えた。

 以降、同隊は墓参り支援だけでなく買い物支援や自宅の清掃など、笠利町内で年間3~4回、ボランティアを実施。相談内容に応じて即時対応することもある。発足当時の隊員は診療所職員約20人のみだったが、活動を聞きつけた地域住民、市の職員や町内の福祉施設職員らも加わり増加。現在は45人で活動している。

 今年4月25日の活動では、高齢者の買い物支援、墓参り支援、清掃、住家の庭の剪定(せんてい)などを行った。買い物支援は高齢者10人が利用。医療介護専門のボランティアスタッフらが介助し、龍郷町の大型商業施設やドラッグストアへ連れ立った。

 買い物支援は笠利町在住の高齢者が対象だが、橋口院長らによると、同町内だけでは衣類、化粧品、花や野菜の苗などの物は十分にそろわず、利用者が直接買い物を楽しむことは難しい。副隊長の當田直哉さん(46)は「自分たちが連れ添うことで、町外にも出向くことができる。そうやって高齢者自身が商品を選ぶ方が生活の質が上がるのではないか」と語り、買い物支援を利用した高齢者からは感謝の言葉が多く寄せられているという。

 同隊の活動は高齢者支援にとどまらず、地域全体を巻き込み広がっている。24年8月に同町の佐仁海岸で実施したビーチクリーンには、地元住民や龍郷町浦の学童保育クラブの子どもらを含め約80人が参加。子どもたちは集めたシーグラスなどを利用し、アート作品作りも楽しんだ。

 佐仁2区の南豊志区長(66)は「海岸清掃など集落の人だけでは手が回らない活動をしてもらい、大変助かっている。ボランティア活動の場が住民同士の交流、子どもたちにとっての学びの場にもなっている」と同隊の活動に感謝した。

 橋口院長は「支援をきっかけに『家族との関係が良くなった』などの声もいただき、うれしい。感謝の言葉が原動力」と笑顔を見せ、「継続していくことが大事だと思う」と言葉に力を込める。

 今後については「広報活動が課題。同隊の活動について新聞やSNS(インターネット交流サイト)での周知を積極的にしていきたい」と展望を語るとともに、地域の高齢化が進行している現状を踏まえ「困っている人と助けたい人のマッチングも今後より重要になるのでは」と話した。