大河ドラマ『西郷どん』 鹿児島市電とJR日豊本線
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鉄道写真家・櫻井寛がドラマの聖地を旅する、ロケーションジャパン連載コラムから、大河ドラマ『西郷どん』の舞台である、鹿児島県・鹿児島市をご紹介!鹿児島市内にJR九州の新駅が誕生した。その名は「仙巌園駅」。仙巌園は約350年前に築かれた薩摩藩島津家の別邸で、桜島を築山に錦江湾を池に見立てた名庭園であり、2018年の大河ドラマ『西郷どん』のロケ地としても有名だ。何度も訪れているが、御殿から望む桜島は、誠に素晴らしく、殿様になった気分である。
けれどもこれまではアクセスが悪かった。鹿児島中央駅からシティビューバスで50分もかかったのだ。それが、仙巌園駅の誕生で鹿児島中央駅からわずか7分で行けるようになった。JR九州さん、ありがとう!
かくして博多駅から九州新幹線「みずほ号」に乗って鹿児島中央駅に降り立つ。博多からの所要時間は1時間16分。新幹線は実に速い。さて、桜島は見えないか? ホームの先に桜島らしき山の一部は見えているが、ビルが邪魔して全貌を捉えることはかなわない。そこで眼に留まったのが、駅ビル屋上の観覧車だ。さっそく昇ってみれば、眼下に鹿児島の市街地が、そして前方には錦江湾に浮かぶ堂々たる桜島の雄姿が現れた。その雄姿に私は「西郷どん」を重ね合わせていた。「西郷どん」こと西郷隆盛は、ここ鹿児島に生まれ幕末から維新の時代に大活躍し、やはりここ鹿児島に没した。
それでは、「西郷どん」ゆかりの地を巡るとしよう。
まずは生誕の地だが、何と鹿児島中央駅から徒歩5分ほどの至近距離ではないか。ずいぶん便利な場所にと思ったが、それは現代の話で、鶴丸城や島津邸があった当時の鹿児島の中心は現在の鹿児島駅に近く、中央駅は九州新幹線が開通するまでは、西鹿児島駅だった。西郷家は下級藩士だったので住まいは城下の外れにあったようだ。
生誕の地から中央駅前に戻った私は「鹿児島市電」に乗って天文館の繁華街を通り抜け、朝日通電停で途中下車。身長5m257㎝、5・7頭身という巨大な西郷どんの銅像を仰ぎ見る。大きな銅像から受けるイメージは茫洋にして鈍重なものだが、行動範囲は驚くほど広く、北は北海道の箱館(函館)から、南は流刑となった奄美群島の沖永良部島までと日本列島をほぼ網羅。しかも、鹿児島、江戸、京、大坂(大阪)間は何度も往復しているのだ。
続いて、JR鹿児島本線の「城山トンネル」に刻まれた西郷どん座右の銘「敬天愛人」を眺めつつ城山へ。錦江湾に浮かぶ雄大な桜島をしばし眺め、西南戦争の末期に総攻撃を受け、最後の5日間を過ごした洞窟を拝む。「晋どん、もうここらでよか」と、自刃した地は鹿児島本線の線路のすぐ隣だ。さらに西郷南洲公園の墓地を訪れて西郷どんの墓に手を合わせた。
そして、鹿児島駅から日豊本線に乗って仙巌園駅へと向かう。列車を降りると、ホームのすぐ右には錦江湾が広がり、その海面に桜島が浮かび上がった。
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大河ドラマ『西郷どん』完全版 第壱集 Blu-ray BOX/DVD-BOX
出演:鈴木亮平、瑛太 ほか
発行・販売元:NHKエンタープライズ
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