奄美で進むDX 哺乳ロボットで負担減 畜産農家の取り組み
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農業分野のDX化は「スマート農業」という呼称のもとで進み、人手不足の解消や作業の効率化を目指した製品が多く開発されている。鹿児島県の奄美市笠利町節田に牛舎を構える繁殖農家の東義人さん(67)・みのりさん(64)夫妻は2004年、国の畜産基盤整備事業の一環で哺乳ロボットを導入した。21年には分娩(ぶんべん)監視カメラも取り入れ、牛の飼養に重要な監視作業の負担軽減を図っている。一般的に子牛は生後3カ月程度で離乳期を迎える。哺乳ロボットは子牛ごとにミルクの給与量や回数の記録が可能。哺乳場所に設置したセンサーが、子牛の首輪に埋め込んだ個体識別用のチップを読み取り、その個体に必要な量のミルクを排出する。
東さんの牛舎では現在、母牛84頭を飼養。導入している哺乳ロボットは、1台で約30頭の子牛を賄うことができるという。子牛1頭が一日に摂取するミルクは5リットル。ロボットは一日10回、2時間置きに稼働し、一回500ミリリットルを上限に自動でミルクを与えている。
ただ、ミルクを飲んでいない子牛はいないか、体調に変化はないか、常に注意観察は欠かせない。機械のメンテナンスのほか、子牛が生まれるたび、数日間は人の手で哺乳ロボットまで誘導し、ミルクの飲み方を教える手間もある。
それでも、「ミルクを作って一頭ずつ手飲ましすると、20頭なら1回につき2時間かかる。ロボットがその管理をしてくれるので、労力的にはすごく楽をさせてもらっている」と義人さん。機械の故障や台風の停電時に苦労した経験から、発電機を設置できるよう工事も行ったという。
みのりさんも「一度にたくさんミルクを飲むより少しずつ与える方が、空腹感から濃厚飼料も食べるようになり、胃の成長につながる」と利点を挙げた。
お産室に設置した監視カメラは、奄美市重点品目生産向上対策事業を活用した。以前は予定日が過ぎた母牛がいると、昼夜を問わず定期的に牛舎に足を運ぶ必要があったが、今は自宅に居ながら手元のスマートフォンで様子を確認できるようになった。
日々進化するデジタル技術。東夫妻は今後を見据え、母牛の体温を監視して分娩事故を防ぐシステム「牛温計」にも関心を寄せている。